先日の日記「助っ人は市場のおじちゃん」より
「紫蘇はまだ?」
「紫蘇はまだ早かろう。来週あたり出てくるけん、またおいで。」
「はぁーい、来週ね。仕入れとってね。」
そんなこんなの会話を交わし、梅漬のノウハウを教えてもらい、代わりに沖縄のゴーヤを買って帰りました。
約束でもありますが、あのおじちゃんとまたお話しがしたくて、昼下がりの市場に出かけました。
紫蘇の漬けかたを教えてもらい、買った紫蘇の葉を包んでもらうときに事件は起こりました。
市場ですから、包装は簡単なものです。
新聞紙にくるんで手提げのビニール袋に入れて「さぁどうぞ」なのですが、なんという巡りあわせか!
おじちゃんが手に取った4ヶ月前の古新聞の一面は、知事選候補のでかでかした顔写真と公約を並べた大きな記事。
つい、「あっ!」と叫んでしまいました。
ほとんど同時に、おじちゃんも「あっ!」
新聞の写真と私をしげしげと見比べたおじちゃんは
「間違いないよね」
「は、はい」
「こんなことがあるもんなんだね」
「その節はお騒がせしました」
「これこそ縁だよね」
「ドラマみたいです・・・」
まさにドラマを見るようでした。
おじちゃんは「ちょっと待ってて」といって、どこかに消えました。
しばらくして戻ってきたおじちゃんの手には名刺が。
市場の副理事長さんの肩書きでした。
「50年ここで商いをしている。こんなにビックリしたことはないよ。」とおっしゃっていました。
おじちゃんの手助けなしには梅干ひとつ漬けられない自分に恥ずかしいのもありましたが、選挙戦で市民の台所、暮しの最前線、伝統あるこの市場も当然廻って遊説もさせていただいたのに、素顔はほとんど知られていない。
嬉しいような、情けないような、恥ずかしいような、複雑な思いでもありました。
市場の人から注目され、期待されるような候補じゃないと。
教えてもらったとおりに紫蘇の葉を洗って仕込みました。
シャキっとしていた紫蘇がみるみる塩らしくなりました。
お祝いメッセージをたくさん頂戴した誕生日の午後に、早くも塩菜の私と同じです。
ほろ苦い梅干ができあがるかも知れません。
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