ひさしぶりにお邪魔した老ご夫妻のお宅に長居してお話を伺う機会がありました。
私との出会いと別れ、再会のなつかしさ、その間のご苦労も
あってか、よほど思いが募っておられたのでしょう。ご主人のお話は四方山話も交え延々と途切れることなく続いていきました。前日に古希を迎えたご主人は、
ご自身のここ数年間を総括し、あとに何かを残すべき時期にきたと考えておられるようでした。
夢を語り、反省されるご主人の傍らには、長年その夢を支えてきた奥様の姿がありました。何度も何度も聞かされてきただろう昔のお話に、ずっと同席されていました。
微笑を浮かべ、物静かに聞いておられるご様子に私は心惹かれていました。
帰宅の途中、夕日の落ちた海岸線で車を留めてもらいました。
何かを語りかけるような潮騒がありました。
大航海時代。海に生きた男たちを送り出した妻たちの心が少しだけ分かったような気がしました。
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